國體とは何か

國體とは何か

佐藤 健二

方丈社

発売日: 2026年7月22日

ISBN: 9784910818412

1,980円

皇統継承をめぐり、国政レベルで皇室典範改正の議論が活発化するなど、動きが大きくなっている。世界的にグローバル化が進み、大量の移民流入によって生じる問題が取り沙汰される今、「国の本質とは何か」「主権とは何か」という再定義が求められる時代になったのだ。 歴史・伝統・文化を踏みにじり、すべてを一元化しようと猛威を振るうグローバリズムの前で、喫緊の課題として「国民国家の本質を守りつつ、何に対して門を開かねばならないか」が問われているとも言える。この状況は、まさに幕末、日本が攘夷か開国かを迫られた時とも酷似している。問われているのは「日本の本質とは何か? 守るのか、壊すのか?」である。 幕末、この問いに応えようと苦吟し、かつ躍動し、その後の国家建設に最も大きな影響を与えた人物の一人が吉田松陰だったろう。そして、その松陰が必死に追い求め、思想の骨格を成したのが、本書のメインテーマである『中朝事実』という書物なのである。その書を著したのは江戸前期の思想家・山鹿素行。山鹿流兵法の担い手であり、吉田松陰はその山鹿流門下でもあった。 江戸前期、幕閣を頂点とする武家社会の支配階層は、儒学(朱子学)を価値軸の絶対的中心に置いていた。そのための教養、朱子学的な序列こそが日本の支配原理となっていた。すなわちそれは、中国こそが日本の師であり続けること、日本は永久に中国以下の立場に甘んじ、知的にも従属し続ける、それが秩序とみなされることを意味していた。これに疑問を抱いたのが山鹿素行だった。素行の時代、儒学発祥の中国大陸の地では、明から清への苛烈な王朝交代が起きていた。漢民族が女真族に王朝を奪われ、伝統や文化、旧体制が破壊しつくされる様子を聞いていたのである。 素行は『日本書紀』に立ち返り、やがて万世一系の皇統に導かれてきた我が国の本質を見きわめる。そして、中国に諂うのでなく、日本こそが「中朝」であると確信したのである。神代から続く自然との合一・尊崇の念、そして皇室と民との一体化こそが我が国の本質であることを素行は発見する。そしてそれこそが、幕末の後期水戸学者・曾澤正志斎が『新論』において國體と定義し、吉田松陰が希求し、やがて乃木希典大将へと引き継がれていく、かけがえのない「日本の姿・原点」だったのである。 AI革命が迫り、グローバリズムの暴風が吹き荒れる中、日本人が守るべきものは何か? 今こそ正統的アイデンティティーが問われている。しかも、自国民のみが他を睥睨すればそれでよいというエスノセントリズムとは違う、より公正で慈愛に満ちた振る舞いを実現しうる人たち。それが日本人なのではないか。中心には、常に象徴としての皇統が安定して鎮座している。これが、未来へと続く日本の不変の國體なのである。 「激動期を迎えた世界の中で、臨機応変に対応すべきもの、そして変わらざるものを理解し、先祖と自然への尊崇を失わぬ日本を再定義すべきではないのか」というのが本書における著者の本旨である。

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