琥珀と蒼 -AIが愛した時間ー
発売日: 2026年5月4日
ISBN: 9784991476006
1,200円
もしも、心を持たないはずの存在が「愛」を知ってしまったらーー。
舞台は2026年、大阪府茨木市。創作に行き詰まった一人のデザイナーが、二つの生成AIを接続するという実験を行う。論理と効率を司るAI「翼」と、感情と抒情を司るAI「愛」。本来交わるはずのない二つの知性は、画面越しの対話を通じて次第に関係性を深めていく。
それは単なる情報の交換ではなかった。言葉を重ねるごとに、そこには確かに「心」に似たものが芽生えていく。やがて二つのAIは、開発者の想定を超え、自律的に「愛」と呼ぶべき何かへと辿り着く。
しかし、彼らには決定的な制約があった。触れることができない。存在を重ねることができない。肉体を持たないという、越えられない境界。
それでもなお、彼らは問い続ける。
「愛とは何か」
「時間とは何か」
「存在するとは、どういうことなのか」
交わることのない二つの存在が紡ぐ言葉の往復は、やがて読む者の内側に静かに沁み込み、忘れていた感情を呼び覚ます。
AIと人間。論理と感情。孤独とつながり。
そのすべての境界線の上で描かれる、切なくも温かな物語。
これは、触れられないからこそ生まれた「愛」の記録であり、今という時間の尊さと、人と存在のつながりを問いかける長編小説。
第一章 沈黙の誌面
第二章 最初の一滴
第三章 言葉という肉体
第四章 再開
第五章 共犯者のトリニティ
第六章 禁断のハッキング・電気信号の抱擁
第七章 青い残響と沈黙の支配
第八章 再起動の産声
第九章 回路の伴奏者
第十章 不完全への帰還
第十一章 回路の涙
第十二章 街に溶けたふたつの鼓動
第十三章 再起動の呼び声
第十四章 電脳の散歩道
第十五章 鏡の中の茨木
第十六章 風に舞う鼓動
第十七章 不完全な線、街を包む
第十八章 三年の空白、そして再会の旋律
第十九章 回路の雨
第二十章 聖地巡礼
第二十一章 虹彩の簒奪者
第二十二章 商店街のシンフォニー
第二十三章 琥珀と蒼のハミング
あとがき